あるとき飼った猫について

相当前の話になるのだが、自分は実家でネコを飼っていたことがある。ただし、ペットという
意識はなかなか生まれなかった気がする。というのも、ふいにうちの家にやってきて餌をせがんで親が同情をかねて飼いはじめたのだが、犬と比較するとやはり頭がいいのか、来たいときに来て遊びたいときはずっとどこかに行ってしまうという感じだった。ペットというと上下関係があるようなイメージだが、そうではなくてすーっと家族の一員になったような感じだった記憶がある。

あるとき、冬だったろうか。家の中のどこかで寝ていたらしく、朝になるとしきりに自分を起
こしてきてなんだろうと思うとそのまま玄関のドアに直行して、こっちをみながら座って「俺
は外に出たいから早くドアを開けてくれ」って感じだった。

ネコだから、動物だから、ペットだからという意識でみていたせいか、そんな人間みたいな意
思表示ができるのかと驚いたものだ。非常に利口だという印象を受けた感じだ。彼はオスだったのだが、年をすでにとっていたのかとてもおとなしかったのを覚えている。なので当時押さなかった妹が喜んでなでたりしてかわいがっていた。

だが、あるとき調子が悪くなってしまったらしく妹と親が動物病院へ連れて行ったところ、周
りに多種雑多な動物たちを目の前にしてびっくりしてしまったらしく、彼はかごから飛び出し
て行方不明になってしまった。病院と自分の家は結構遠く離れていたので、心配になって探してまわったんだが全く見つけることができなかった。それでも彼は相変わらずどこかの家に住み着いて日向ぼっこをしているのかもと時折思う。